うさぎのY氏について
スマートフォンの普及は私たちの生活を劇的に変化させました。音楽を聞きたい思ったとき、CDを買うのではなくオンラインストリーミングで楽しむ。衣服も所有するのではなく、まるでインターネット上に自分のクローゼットがあるかのように、スマホで好きな服を選び、ほしい時により寄せる。――これらの変化は「生活のクラウド化」という言葉で説明できるものだと考えています。
このクラウド化はマンガの業界においても特に顕著に見られており、電子書籍でマンガを楽しむことが一般的となってきました。また、多くのマンガアプリが登場し、無料で多くのマンガコンテンツを楽しむことができるようになりました。
この変化を私は決して悲観的に見ているわけではありません。より多くの人が多様なチャンネルでマンガを楽しむことができることは、純粋に喜ばしいことだと思います。ただ一方で、マンガをデジタルコンテンツとして「消費」することに対して、少し違和感を感じています。
ニュースアプリやSNSアプリと同じようにスマホのホーム画面に存在するマンガアプリや電子書籍アプリは、やはりニュースやSNS投稿のように一過性の「コンテンツ」として、ただただ「消費」されているのではないか、という違和感です。
こどものころ、小遣いが足りなくて何度も同じマンガを楽しんだような、セリフを覚えてしまうほど読みこんだような消費体験は、現在の消費スタイルでは難しいのではないか。そういった思いから、何度も何度も読み返したくなる、マンガの深読みを楽しむための入り口を提供するようなメディアを目指して「うさぎのY氏」を立ち上げました。
最高にお気に入りなマンガを見つけるお手伝いができれば幸いです。